ゲームやマンガでは世界中の神話をモチーフにしたキャラクターがよく登場しますよね。
なかでもよく使われるのは「北欧神話」ではないでしょうか。
北欧神話は、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドなど、スカンディナビア半島周辺で伝わっていた物語なので、「スカンディア神話」ともよばれます。
上の地図の緑で塗られたところがスカンディアとよばれるところですね。
- 北欧神話最大の特徴・ラグナロク
- 世界は巨人の体からつくられた
- オーディン:じつは努力家
- トール:女装もするよ
- テュール:フェンリルの飼い主?
- バルドル:ラグナロクのきっかけになったオーディンの息子
- フリッグ:オーディンの奥さん
- ヘイムダル:ロキと腐れ縁があるライバル
- イズン:リンゴ管理人のお姉さん
- ノルン:ユグドラシルの世話係
- フレイ:イチモツがでかいイケメン
- フレイヤ:エロスの権現・絶対ヒロイン
- ロキ:だいたいの事件はコイツのせい
- フェンリル:いろいろ不憫なオオカミ
- ヨルムンガンド:成長しすぎた蛇
- ヘル:冥界の女王
- ゲルズ:超絶美人な巨人族
- スルト:世界を滅ぼした炎の巨人
- シグムンド:オーディンに翻弄された王様
- シグルズ:竜殺しの英雄
- ファヴニール:黄金を守る強欲な竜
- 『オーディンスフィア』をやってほしい
北欧神話最大の特徴・ラグナロク
さて、北欧神話の魅力とはなにか。
いろいろあると思うのですが、エジプト神話とかギリシャ神話とか日本神話と比べたとき、最大の違いは「神話が終わっちゃう」という点ですね。
北欧神話では巨人や神々、ワルキューレなどさまざまなキャラクターが登場し、ときにユーモアあふれるエピソードもあったりしますが、すべては最終戦争(ラグナロク)への伏線に過ぎないのです。
これは北欧神話の大きな特徴です。
だいたいの神話って、いつのまにか物語の登場人物が神々から人間に変化して、神様たちはフェードアウトしながら「人間の歴史」につながっていくんですよね。
日本の場合、初代天皇である神武天皇は、天照大神(アマテラスオオミノカミ)の子孫だとされていますし。
その点、北欧神話は「終わり」が明確です。
ラグナロクによって神々や巨人はいったんすべて滅び、世界が再生されて、新たに人間の世界・人間の歴史が始まるという流れになっています。
神々のトップに立っていたオーディンも、巨大な狼・フェンリルと戦って敗北してしまう。
オーディンなんて、人間の歴史で主神として崇拝されてしかるべきポジションなのに、アッサリ負けちゃうっていうのは珍しいです。
世界は巨人の体からつくられた
さて、北欧神話では、「世界は巨人の身体で作られた」ということになっています。
このような設定はさほど珍しくありません。
インド神話でも原人プルシャという千本の足を持つ巨人から世界が創られたとされています。
北欧神話のキャラクターは3つの種族に分類されます。
神(アース神族/ヴァン神族)、巨人族(ヨトゥン)、人間の3つです。
一番最初に誕生したのはユミルという巨人で、彼の子孫と氷のなかから誕生した神ブーリの子孫の間に生まれたのがオーディンです。
オーディンは三人兄弟の長男で、彼は弟たちと協力してユミルを打ち殺し、その身体で世界を作り上げたといいます。野蛮ですね。
たとえば天空は、ユミルの頭蓋からできていて、川や海は血液から、石は骨から、雲は脳みそからできているそうです。
なお、神が敵役である巨人から生まれたり、親を殺したりすることも、神話あるあるです。
ギリシャ神話の主神・ゼウスも、もともとは生みの親である巨人・クロノス(クロノスは「時間の神」と「大地の神」の2人がいるが、これは後者のほう)をぶち殺してます。
オーディン:じつは努力家
世界を創ったアース神族の主神。
三人兄弟の長男。弟たちは特に活躍せず、影が薄いです。
基本的に自由奔放な俺様神様ですが、ルーン文字を習得するために9日間ユグドラシルに逆さづりになったり、知恵の泉の水を飲むために方目を差し出したりと、じつはけっこう努力家な一面も。
浮気性だったり、怒りっぽいのはギリシャ神話のゼウスと同じですね。
フギンとムニンという二匹のワタリガラスで地上の情報を集め、八本足の愛馬・スレイプニールにまたがり、グングニルという投げても自動的に手元に戻ってくる槍を扱います。
が、ラグナロクでは巨人族の狼・フェンリルに飲み込まれて死んでしまいます。
トール:女装もするよ
カミナリの神様で、めっちゃ強いです。あとすごく大食いです。
ミョルニルという、敵に投げても自動的に手元に戻ってくる槌が武器。「投げても戻ってくる」というのが、当時のイケてる武器のトレンドだったんでしょうか。
ミョルニルは武器としてだけではなく、結婚のときの儀式でも使ったりするので優秀です。
ミョルニルが巨人に盗まれたときは、女神フレイヤに女装してロキと一緒に取り戻しに行ったりしました。
ラグナロクでは大蛇ヨルムンガンドと戦って相討ちになります。
テュール:フェンリルの飼い主?
勝利の神様で、フェンリルがまだアース神族に飼われていたとき、えさをやって可愛がっていました。
その後、大きくなりすぎたフェンリルを神々が捕縛するとき、フェンリルを信用させるために口の中に右腕を入れ、食いちぎられてしまいます。えさをやってたのに……。
ラグナロクでは冥界の番犬・ガルムと戦って相討ちになります。
バルドル:ラグナロクのきっかけになったオーディンの息子
オーディンの息子で、光の神。
地上のあらゆるものでも傷つかない身体だったが、ロキの悪ふざけによって唯一傷つくヤドリギの若木の矢で命を落とします。
神々は冥界に行ってしまったバルドルを、冥界の女王ヘルと交渉して取り戻そうとするが、ここでもロキが邪魔をして交渉は失敗。
彼がいなくなったことで世界から光が失われていき、ラグナロクが始まるのです。
しかしバルドル自身は、ちゃっかりラグナロク後に世界に復活したりしてます。
フリッグ:オーディンの奥さん
オーディンの正妻で、バルドルの母親です。
バルドルを守るため、世界中のあらゆるものと「バルドルを傷つけない」という約束を取り付けて息子を守ろうとしますが、ヤドリギの若木だけは若すぎて契約が取れませんでした。
フレイヤと同一人物ともされています。
ヘイムダル:ロキと腐れ縁があるライバル
神の国と人間の国を結ぶ虹の橋「ビフレスト」の見張り役です。
高い視力と聴力があり、睡眠時間が短いショートスリーパーでもあります。明石家さんまさんと一緒ですね。
ラグナロクでは攻め込んで来る巨人族を見つけて、角笛ギャランホルンを吹き鳴らしました。
ロキと一緒に行動することが多く、腐れ縁と言ってもいい関係かもしれません。
ただ、ラグナロクではそのロキと一騎打ちをして相打ちになりました。同人誌作家さんがいろいろ捗りそうな関係ですね。
イズン:リンゴ管理人のお姉さん
アース神族の不老不死の源「若返りのリンゴ」を管理している女神です。すごい美人みたいです。
ラグナロクでは戦闘に参加することはなく、ユグドラシルの梢から落下して姿を消したとされています。
ノルン:ユグドラシルの世話係
ノルンというのは「運命」の女神ウルズ、「存在」の女神ヴェルザンディ、「宿命」の女神スクルドの総称。
世界樹ユグドラシルに水をやって管理しているのは彼女たちです。
ちなみに、ギリシャ神話ではモイラという3女神がいて、それぞれクロートー、ラケシス、アトロポスといいます。
フレイ:イチモツがでかいイケメン
ヴァン神族のイケメンで、現存するフレイ像は巨大な男根がトレードマーク。
さまざまな宝物を持っていて、
・どんな方向の風もつかみ、折りたたんでポケットにしまえる魔法の船「スキーズブラズニル」
・馬より早く走る黄金の猪「グリンブリスティン」
・ひとりでに戦ってくれる宝剣
などがあります。
ただし、巨人族の娘・ゲルズと結婚するために宝剣を手放したため、ラグナロクではショボい鹿の角で炎の巨人・スルトと戦うことになり、敗北してしまいました。
フレイヤ:エロスの権現・絶対ヒロイン
フレイの妹で、豊満な肉体と美しい容姿を持つヤリマン女神。
美しい首飾りを手に入れるために4人の小人族とベッドインしました。
また、オーディンの愛人であり、お気に入りの人間を猪に変えてそばに置いていたりもします。
そのうえ、得意な「セイズ呪術」は性的なエクスタシーを伴うという筋金入り。
ロキ:だいたいの事件はコイツのせい
もともとは巨人族の両親から生まれたんですが、オーディンと義兄弟の契りを結んで、アース神族に仲間入りさせてもらいました。
両性具有者で、変身が得意です。
序盤こそトールやヘイムダルとつるんで仲良くやっていたみたいです。
子どもをたくさん作っていて、ヨルムンガンドやフェンリル、ヘル、スレイプニルなどはみんなロキの子ども。そう、ラグナロクのときに神々を殺す怪物たちですね。
バルドル殺しあたりからアース神族の信頼を失い、捕えられて洞窟に幽閉されてしまいます。
ラグナロクで開放され、子どもたちやほかの巨人族と共に神々に戦いを挑み、ヘイムダルと相討ちになりました。
フェンリル:いろいろ不憫なオオカミ
ロキの子どもで、ヨルムンガンド、ヘルのお兄さん。
しかし、「アース神族を滅ぼす」という予言で弟や妹は追放され、自身も魔法の紐「グレイブニル」で捕縛されてしまいます。
ラグナロクで開放され、オーディンを丸呑みにして復讐を果たすも、オーディンの息子・ヴィーザルに殺されてしまいました。
ヨルムンガンド:成長しすぎた蛇
フェンリルの弟で、巨大な蛇。
小さいときに捨てられてしまいますが、海の中ですくすく成長し、世界を取り囲めるほどの立派な体に成長しました。
その代わり、動くだけで大津波がおき、口からは毒を吐きます。
ラグナロクではトールと戦い、ミョルニルで頭をかち割られて死んでしまいますが、毒の息でトールも殺しました。
ヘル:冥界の女王
フェンリルとヨルムンガンドの妹です。
幼いときに神々の国から追放されましたが、オーディンから9つの世界を支配する力を与えられ、死の国ニブルヘルを治めて冥界の女王となりました(オーディンは女性に甘いです)。
ラグナロクでは自ら戦場に出ることはありませんでしたが、父であるロキに死者の軍隊を貸して神々との戦いに協力しています。
ゲルズ:超絶美人な巨人族
巨人族の、フレイの奥さん。
超絶美人で、フレイからの猛アタックを突っぱね続けたのですが、最終的には脅されて結婚しました。
しかし、結婚後はなんだかんだフレイと仲むつまじい夫婦になったみたいです。
スルト:世界を滅ぼした炎の巨人
火花が飛び散る大地ムスペルスヘイムを支配する炎の巨人。
いつ生まれたかはわからないのですが、かなり古くからいて、ムスペルという一族と一緒にいます。
ラグナロクではムスペルたちと一緒に神々の国に攻め込み、フレイと戦って彼を殺害。
さらに炎の剣によって世界を燃やしつくし、大地を海に沈めました。
まさに北欧神話におけるラスボス的存在です。
シグムンド:オーディンに翻弄された王様
オーディンに選ばれた人間族の勇士。
しかし、オーディンに選ばれたことで妹の夫に逆恨みされ、一族を殺害されます。
彼は復讐をして国王となるも、女性関係でゴタゴタした挙句、再び現われたオーディンに剣を折られて戦争で敗れて死んでしまいます。
死後、ヴァルキューレに連れられてヴァルハラに連れて行かれました。かわいそうに。
シグルズ:竜殺しの英雄
シグムントの子どもで、戦士の王。
幼いときは鍛冶屋のレギンに育てられ、成長したあと父シグムントのかたき一族を滅ぼします。
その後、レギンにそそのかされて黄金を守る竜ファヴニールを討伐。
その心臓から流れた血をなめたところ、小鳥の声が聞こえてレギンの裏切りを知り、彼を殺害しました。
その後、小鳥の声に導かれてヒンダルフィアルの山頂で眠っていたヴァルキューレ・ブリュンヒルドに出会います。
彼女はオーディンに逆らったがために、眠りの呪いをかけられていたのでした。
シグルズはブリュンヒルドと結婚を約束します。
しかし、そのことを忘れた彼は別の女性と結婚し、嫉妬に狂ったブリュンヒルドの策略で命を落とすのでした。
ちなみに、名前をドイツではジークフリートという名前になります。
ファヴニール:黄金を守る強欲な竜
黄金を守る竜。
じつはもともと人間で、黄金への執着による呪いで竜に変身してしまったのです。
しかも、じつはシグルズの養父レギンの実の兄でもあります。
そもそもの発端は、ファヴニールの兄をロキがうっかり殺してしまったため。
ファヴニールとレギン、そして彼らの父親は賠償金を請求したのですが、ロキは小人族から奪った呪いのかかった黄金で支払った賠償金を支払いました。
その結果、黄金の魔力に取り憑かれたファヴニールは父を殺し、黄金を守る竜に姿を変えてしまったのでした。やっぱりロキのせい。
『オーディンスフィア』をやってほしい
というわけで、北欧神話の主要登場人物紹介は以上です。
余談ですが、北欧神話が好きならぜひとも『オーディンスフィア』というゲームはやっていただきたいですね。
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